パトラッシュ、僕はもう疲れたよ…
- 2012年11月06日 23時16分
- アントワープ, ベルギー
- Accommodation, World Heritage
ブリュッセルの次に向かったのは、ベルギー第2の都市アントワープ。日本人にとっては、ネロとパトラッシュでおなじみ、アニメ「フランダースの犬」の物語の舞台として有名な町だ。そんなアントワープで、少年ネロが永遠の眠りについた「ノートルダム大聖堂」を訪れた。(*写真はルーベンスの「キリストの降架」)
ブリュッセルからアントワープまでは列車で約40分。料金は6.9€だった。
立派な外観のアントワープ中央駅。
アントワープでは「Alias Youth Hotel」というユースホステルに宿泊。4人部屋ドミトリー(Wi-Fi、朝食付き)で一泊19.5€。到着した日は夜も遅かったので、翌朝から町を散策開始。
アントワープは、ダイヤモンドの研磨と取引が世界一の町でもある。それ故、町にはダイヤモンドのお店が数多く立ち並んでいる。
昨夜も気になっていたんだが、町のいたるところで黒のスーツに黒のシルクハットを着用した正統派ユダヤ人を多く見かける。こんなにユダヤ人を見たのはエルサレム以来だ。彼らはダイヤモンドとも深い関わりがあるようで、ダイヤモンドを研磨する円盤を発明した人がベルギー出身のユダヤ人だったため、この町のダイヤモンドの取引や研磨・カットは全てユダヤ人の手に握られているそうだ。
町の中心にあるフルン広場。奥に見えるのがノートルダム大聖堂。
フルン広場に立つ、画家ルーベンスの銅像。
「フランダースの犬」において、主人公のネロが見たがっていたノートルダム大聖堂の絵画である「キリストの昇架」と「キリストの降架」の作者はルーベンスで、ネロが祈りを捧げていたノートルダム大聖堂のマリアも、ルーベンスが描いた「聖母被昇天」である。(*Wikipediaから抜粋)
教会の前には、トヨタが寄贈したフランダースの犬のベンチがある。外国人も撮影してます。
ベンチには「フランダースの犬 − この物語は悲しみの奥底から見出す事の出来る本当の希望と友情であり、永遠に語り継がれる私達の宝物なのです。」と書かれている。
ベンチの中央に描かれているネロとパトラッシュ。
ノートルダム大聖堂は1351年から約170年もの歳月をかけて建てられたベルギー最大のゴシック教会。ネロ少年はこの教会で天に召されるのです。
門の入口には並ぶ美しい彫刻たちがお出迎え。それでは中へ。
入場料は5€。ちゃんと日本語で書かれたガイドパンフレットも用意してあります。
純白が基調の美しい聖堂内。
天井に吊るされた巨大な十字架。
光が差し込んだ美しいステンドグラス。
火が灯ったロウソク。
聖堂内では、ルーベンスをはじめとした多くの画家たちの宗教画を拝見することができる。教会というより、どちらかというと美術館のような感じだ。
この絵がルーベンス作の「キリストの昇架」。ゴルゴダの丘にて、十字架を背負ったキリストが吊るし上げられる様子を描いた作品です。
そしてこの絵がルーベンス作「聖母被昇天」。ネロ少年が祈りを捧げていた絵です。
ところで、「フランダースの犬」の最終回の内容を覚えているでしょうか? まずは、ネロの住む村の村長の風車が火事になってしまうところから。放火の疑いがかけられたネロ(もちろん潔白)は、ミルク運びの仕事を失い、家賃も払えず家を追い出されてしまいます。ネロは絵画コンクールでの賞金に望みをかけますが、残念ながら落選してしまいます。
ところが、審査員の一人が、えらくネロの絵を気に入り、ルーベンスの後を継ぐ才能を秘めているとまで言って、ネロを養子にしたいと、村長の家まで申し出にやってくるのです。村長ショック。村のみんな総出で吹雪の中、ネロの捜索をしますが、時すでに遅し。
ネロは家を明け渡し、吹雪の中ノートルダム大聖堂に向かいます。そこで、いつもカーテンに隠されていたルーベンスの「キリストの降架」(*写真)を初めて見ることができ、満足したネロは、「僕はもう疲れたよ…」とパトラッシュに告げ、天へと召されてゆくのです。
昔、うちの母親がフランダースの犬の最終回を見て号泣していたのを鮮明に覚えている。当時、自分は8歳か9歳だったと思うが泣きはしなかった。でも今見たらきっと泣くだろうな…
「パトラッシュ、僕も旅に疲れたよ…」